ガラスケース
[歌詞]
今回、初めてラブソングというものをちゃんと書きました。今まで灰かぶりで何曲も作ってきましたが、ここまで恋愛をしっかり扱った曲はなく、避けてきたのは事実です。もちろん挑戦したいとは思ってたけど。
避けてた理由は単純に苦手だからです。恋愛がそもそも上手じゃないし、恋愛の何を歌詞にしたらいいのかもわかりません。ただ一つだけ、昔から”ラブソングを作るならこのテーマだな”と決めてたものがあります。
僕は昔から大切なものができると壊れてしまうことを想像する癖があって、一緒に居たいのに無意識に相手を傷つけてしまったりすれ違ったり、「大切なものを大切にすることの難しさ」を思い知らされてきました。
でもそれは当然で、対象はモノではなく人だから、単にガラスケースの中に閉じ込めておけば安心というわけにはいかない。じゃあどうやって大切にしよう、と考え続けるのが今作です。失恋でも片思いでもなく、一緒にいるからこその苦しさをテーマにしました。
この歌詞の主人公は考えすぎちゃう性格で、「君を守る」というラブソングのお馴染みフレーズにまでも疑問を抱くけど、相手が言った”隣に居れたらそれでいいんだよ”という言葉が全てを解していきます。頭で考えすぎるよりも、今できることをしなきゃねー。
[音楽]
この曲の編曲はレコーディング直前まで何が正解なのかとても悩みました。バラードを作ることも滅多になく、いつもの多様な音色が詰め込まれたアレンジは歌詞を邪魔するようでバランスを取るのが難しい。
そして考え抜いた末に前半のピアノ中心の内省的なテンションから、ラストに向けて壮大なスケールになる編曲に辿り着きました。歌詞の中で主人公が考えすぎて爆発していくのに呼応するようにギターソロやクワイヤが重なっていく構成は我ながら気に入ってます。灰かぶりの編曲は歌詞に導かれることも多いのです。
あとこの曲は上手に歌わなきゃ!よりも、ガラスケースにぴったりの歌が歌いたい!と思って、丁寧に慎重に、でも気楽に思うがまま歌っています。メンバーからはすごく好評だったから、聴いてくれた貴方にも届いてるといいな。
ストレートなラブソングを作ろうということで作り始めたけど、完成してみるとちょっと捻くれた曲にも思えます。それも含めて我々らしい。末長く大切に聴いてもらえると!
坂根涼太 (Vo./Gt.)